はじまりは、98シリーズだった。
カチャカチャと鳴るキーの音、高めのキーを叩く感触、そして「キーボードを打っている」という確かな感覚。子どもの頃から、それが好きだった。
みなさんは、そういう「原体験」ってありますか?
いつの間にかノートパソコンの時代になって、ペチペチとした打鍵感が当たり前になった。MacBook Proのキーボードは、Windowsノートのような安っぽさはなかったけれど、あの頃の感覚とは違う。それでも特に不満もなく、外付けキーボードなんて考えたこともなかった。
そんな私が変わったのは、推しのYouTuberさんがREALFORCEを使っている、という、ただそれだけのことだった。
Amazonのカートに入れて、何度か躊躇した。私にとっては超高級品だ。「清水の舞台から飛び降りる」とはこういうことか、と思いながら、ポチった。
届いた箱を開けたとき、ふーっと息が出た。
「本当に買っちゃった。」
じわじわと実感が湧いてきて、早く触りたい気持ちが追いかけてきた。
MacBook Proに繋いで、パソコンデスクに向かった。
打った瞬間、思ったのは「あ、これだ」ということだった。YouTubeで何度も聞いた「スコスコッ」という音が、自分の部屋に鳴っている。想像よりずいぶん軽い打鍵感だったけれど、キーの高さと、耳に馴染むその音は、どこか懐かしかった。
あの頃の感覚だ、と思った。
気づいたら「毎日5問のタイピングトレーニング」というサイトでひたすら練習問題を打っていた。楽しくて楽しくて、その日の5問を打ち終えたら前日の分も打った。気づいたら3日分。そこでふと我に返った。
「楽しいけど、何やってるんだろう」
でもその瞬間、なんとなくわかった気がした。これが沼か、と。
生産性とか関係ない。ただ打ちたいから打つ。それだけのことに、こんなに夢中になれる。外付けキーボードを買うとはそういうことで、キーボード沼にハマるとはそういうことだった。
ここから、好みの打鍵音・打鍵感を求める、終わりの見えない旅がはじまる。
